荒船山 昇天の氷柱 アイスクライミング

荒船山 昇天の氷柱 アイスクライミング

日程:2021年3月7日

メンバー:L中川、山崎

 

荒船山「昇天の氷柱」(Rグレード:4級上 Pグレード:Ⅵー)
1P Ⅴ+ 80°程度のアイスフォール〜泥のルンゼ
2P Ⅳー 緩傾斜の氷壁
3P Ⅵー 80°程度の狭いルンゼ
4P Ⅴ       硬い油氷

 

2年前のシーズン、錫杖岳前衛フェース3ルンゼを登攀し、
それ以来、厳し目のアルパインアイスに行けていないこともあり、
今年は、シーズン最後に、荒船山の「昇天の氷柱」を登攀することにした。
パートナーは山崎さん。錫杖の時も一緒だった。

荒船山の昇天の氷柱は、ピッチ最高グレードがⅥーであり、残るピッチもⅤ程度が続くことから、
かなりの難儀が予想された。また、シーズンも終わりに近いことから、氷の状態が気になった。
ガイド本では、2月末までと書かれている。

前夜発で、内山峠から入山、艫岩の基部をトラバースしていくと、80°程度の見事なアイスフォールに到着。
ここから、4ピッチのルートが始まる。腹ごしらえをしつつ登攀準備を進める。

1ピッチ目、氷壁部を無事こなし落ち口へ、その上部は、狭いトンネル状になっている。
とてもくぐれるような大きさではないので、他のパーティーの記録と同じく、
左壁のルンゼをバックアンドフットでよじ登る。
がしかし、上部にはしっかり泥が詰まっており、動く度に目に泥が入るほどである。
もがきもがき、なんとか終了点へ到着。

2ピッチ目を見上げると、ほとんど氷が見当たらない。
数メートルほど右壁の岩を登り、左側に少し残る氷にスクリューを1本入れて、不安定な氷を数メートル登攀。
一段上がると、緩い傾斜の氷床が何段かに別れて連なっている。
どん詰まりまで行きピッチを切るが支点がなく、アイススクリューと氷柱にタイインしたスリングでビレイ点を作った。

2ピッチ終了点から見上げる3ピッチ目は、威圧的にのしかかってくる狭いルンゼ。
申し訳程度に氷が詰まっている。右壁にボルトが何本か打たれていることを確認し、スタート。
出だしは比較的傾斜も緩やかで1本目のボルトまで氷を登る。ここから傾斜かきつくなり、ルンゼも相当狭くなる。
奥に張り付いた氷にアックスを効かせてよじ登るも、傾斜がキツく、また狭くて身動きがとれない。
仕方なく、右壁をプッシュしながら、両側の側壁にステミングを繰り返す。
所々、古いリングボルトも打たれている。右壁にあるボルトは何故か遠くにあり、クリップに難儀した。

核心の3ピッチ目を終了し、見上げる4ピッチ目には、かの有名な笠氷が見える。強い風に煽られて、
氷が笠のような形状で細いルンゼから突き出している。
笠氷までは傾斜も緩く階段状に見えたが、登ってみると不安定な氷で案外悪い。
笠氷下になんとか到着、スクリューを1本打ち込み、右側から気合を入れてのっ越す。
笠氷上にはボルトがあると何かで見たが、見当たらない。
それでもなんとか笠氷の上に立ち上がると数メートル上にボルトを発見した。
今年は笠氷の位置が低かったのだろうか。その上は日が当たり、氷の表面を水が流れている。
程なく傾斜は落ち、登山道直下にたどり着く。
左を見ると、艫岩の展望台が見え、ハイカーが何人か、我々の方を覗き込んでいた。

暖かな日差しの中、完登の喜びに浸りながら、登山道を駐車場に向かう。
朝ツルツルだった登山道、帰りはグチョグチョな状態になっていた。

ここ最近は、八ヶ岳南沢大滝などのゲレンデ的なアイスクライミングばかりだったので、
久しぶりのアルパインアイスクライミングには痺れた。
さらに、アイスというよりはミックスクライミングに近く、
岩のスタンスをフロントポイントで拾いながら薄い氷をこなして行くその多様さに魅了された登攀であった。

さて、来年はどこを登るかな?

1枚目:荒船山艫岩 左側3分の1の切れたところが昇天の氷柱(下部にスタート地点のアイスフォールが見えている)

2枚目 2ピッチ目終了点からフォローを確保

3枚目 3ピッチ目(狭いルンゼ)

4枚目 4ピッチ目(上部に笠氷が見える)

 

動画

https://youtube.com/watch?v=tOHOt03pxFY&feature=share

 

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