LEDソーラーランタンMPOWERD

 LEDソーラーランタンMPOWERD(エムパワード)を紹介しよう。山の道具は実用本位で軽量化と機能を追い求めるため、遊び心は二の次となってしまう。
山屋が「ヘッデン」というヘッドランプもLEDを使った低消費電力のものが主流となっているが、その形状はどのメーカーも似たようなもので面白みが無い。昔はテントの中でヘッドランプを消し、ろうそくを使っていた。豆電球のヘッドランプは電池の消耗が激しく行動中に使用するときだけ点灯させ、テントの中では消していた。予備の電池を行動日数分用意して行かねばならなかった。山小屋では灯油のランタンも使われたがテントではろうそくを使っていた。ろうそくは風にテントが煽られると炎がゆらゆらゆれ情緒があったが煤も出て、扱いにくいものだった。その後、ガスで火屋(ほや)を燃焼させるランタンや電池式のランタンが出てきたがあまり普及しなかった。重いこととヘッドランプがLED化しさらに電池もマンガンからアルカリ、リチウムと高寿命化となり、1週間程度の山行でも電池交換なしで使えるようになったことが大いに貢献している。勢い、つけっぱなしのヘッドランプでテント内の照明にも利用し始めたのだ。明るさも十分な光量が得られるためろうそくが不要となっていった。
 今回友人からLEDソーラーランタンMPOWERDを紹介してもらい、テントに持ち込み使用してみた。今年(2013年)秋の皇海山と初冬の八ヶ岳で利用した。

皇海山は庚申山荘に泊まり、屋外で料理を楽しんだのち就寝。お酒のせいもあり夜トイレを使う。トイレは屋外にありMPOWERD片手に霧の中、足元を照らしながら進む。十分な光量があり霧の中に幻想的な明かりとなった。10個のLEDが透明なビニール製の窓を内側から照らし乱反射して光が周囲を照らし美しい。
 八ヶ岳では小淵沢の先輩の山荘で仮眠ののち美濃戸から赤岳鉱泉に入る。幕営し硫黄岳を登ってテントで宴会となる。MPOWERDをテント上部に吊るすと4-5人用のテントでも十分に明るい。ヘッドランプだけの炊事や宴会より雰囲気が出て非常によろしい。ゴアテックスなど通気性のあるテントに中でも炊事をすると湿度が高くなり露結するがMPOWERDはビニール製の素材で出来ており防水性にも優れている。
 山岳会の集会で孫や子供のいるメンバーはクリスマスのプレゼントに、介護や遠く離れた両親に防災用品として使ってくれている。子供や老人には電池の交換や面倒な操作は不向きだが、ボタン一個で操作でき、なにより徹底して節約をモットーにしている老人にはソーラー電池が好評である。使い捨ての電池ももったいないが夜使ったMPOWERDを昼間充電させる労力は厭わないのである。何しろサンデー毎日の彼らにとって、日常的に定型業務はボケ防止にも役に立つと信じている。
 まあ、防災用品としても登山やハイキングのお供や山の仲間とのコミニケーション・ツールとしても遊び心と実用性を兼ね備えており面白いグッツである。

LEDソーラーランタンMPOWERD

重さ 113グラム 直径約12cm
点灯時間 6-12時間 点灯2段階(強、弱)+点滅
実際の点灯時間 弱で8時間(室温)
充電時間 8時間(晴天時屋外放置)
*Luciルーシーの名称が初期バージョンではついていたが最近、ホームページ上ではMPOWERDとなっているようです。
MPOWERDは米国のベンチャー企業の商標のようです。

以上

(2013年12月23日 川崎山岳会布田仁)

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