谷川岳縦走(西黒尾根~トマノ耳・オキノ耳~一ノ倉岳~茂倉岳~武能岳~蓬峠~シシゴヤノ頭~コマノカミ沢左岸尾根~蓬新道~土樽駅)

日程

2024年1月5日(金)~7日(日)

メンバー

OT(リーダ、記録)、MN、AB

行程

(1日目)

馬蹄形縦走計画の1日目。今日は標高差1200mを登り、トマノ耳を超えて、一ノ倉岳が最低ライン、楽観シナリオでは蓬峠までだ。天気が良い、西黒尾根も人が多い。ほとんどが単独者だ。トマノ耳を超えると1人分のツボ足トレースとなった。一緒に西黒尾根を登り茂倉岳まで行くと行っていた2人もトレースがないと引き返していった。奥の院で休憩し3人とも越後ワカンを装着する。何人かの人が明日から天気が悪いと忠告していった。OTが先行してトレースをつける。雪がまだ少なく踏み抜くと体力消耗して大変だ。周辺観察しながらルートを選ぶ。

一ノ倉岳の登りは登山道が谷側に近いところについておりミスすると谷底なので、少し避けて登ったが雪がしまっておらず大変な登りだった。一ノ倉岳山頂付近で2人を待つ。山頂は少し風があり、雪が積もらないのか、これまでなかったワカントレースが多く残っていた。避難小屋は雪の下だ。

この日は一ノ倉岳と茂倉岳の鞍部にテントを張った。風下側の雪を削ってテントを張り、テントと同じ高さまでブロックを積み上げたため風の影響はほとんどなかった。ここで単独男性が茂倉岳の避難小屋に泊まると抜いていった。

ABの豪華な夕食を食べて明日の予定を確認する。初日の最低ラインは超えたが貯金ゼロである。電波が入り天候悪化の予報は変わらないことを確認する。この時点で馬蹄形縦走は断念し、蓬峠まで歩き蓬新道から下山するか、シシゴヤノ頭に向かい尾根を降りることにした。

(2日目)

朝3時起床。朝食を食べテントを撤収する。無風かと思ったがブロックを崩すと風があることを実感する。遠く清水峠付近にヘッドランプの光が見える。逆回りの縦走者だろうか。まだ雪がしまっているためアイゼンで出発する。茂倉岳を目指していると昨日の単独男性とすれ違った。どうやら避難小屋に入れず半雪洞で過ごしたようだった。茂倉岳山頂に出ると風が強い。山頂から武能岳に向けてまたトレースのない斜面を降りていく。少しでも踏み抜かないように雪面に対して丁寧にフラットフッティングで下る。途中からブッシュが見えはじめ俯瞰すると登山道が浮かび上がってくる。まだ雪が少ないので登山道はやはり歩きやすい。日の出だ。

下り切ると正面に岩峰。左から容易に巻けた。巻くと全くの無風となった。さらに下り笹平。ここから武能岳へ向かう登りが始まる。ワカンを装着するか悩むが、最後の武能岳が急登でアイゼンのまま進むことにした。しかし、この登りがまた大変だった。風がなく気温も上がり雪がグサグサ。1、2歩ごとにアイゼンに大きな雪団子がつき足が重い。3人で交代しながらラッセルする。山頂直下で登山者が降りてきた。清水峠のヘッドランプの主か。単独だ。足元はスノーシューで慎重に下ってくる。2日間で馬蹄形を周り切る計画とのこと。

武能岳山頂でワカン装着する。タイミングとしてはやはり登る前に装着すべきだった。スノーシューのトレースより、ワカンは数cm深く沈む。蓬峠に向かって下るとまた前方から単独登山者が歩いてきた。女性でこちらの方もスノーシューだった。清水集落から3人で上がり、2人はシシゴヤノ頭経由で土樽方面へ降り、自分は谷川岳まで歩くとのこと。今日の天気は最高だ。このまま降りるには勿体無いという気持ちはわかる。蓬ヒュッテは冬季入り口部分のみ開放されていると情報を得ていたが、扉は半分埋まり、立てかけた板も凍りついているので中に入るのは大変そうだ。

蓬峠から少し登り、シシゴヤノ頭に向かって稜線を歩く。途中からナイフリッジが続くが、先ほどすれ違った方の仲間2人のトレースがあるのでルートは見えている。ここはずっとMNがトップでいいペースで歩く。両側切れ落ちたナイフリッジでエンジンかかったようだ。シシゴヤノ頭で休憩。眼下には平坦で少し窪地になった広場があり、ウサギの足跡が縦横無尽に走っている。少し早いが天気もいいのでウサギの広場にテントを張り乾杯することにした。天気は良く濡れたテントも乾いた。明日は下山するだけだ。

(3日目)

寝る前に少し雪が降り出した。夜中に少し強くなったが、朝は静かだった。朝4時起床。静かだ。テントを叩くと雪がバサっと落ちて雪がテントに当たる音がし始めた。降り続いていたらしい。

内張はピッタリテントに張り付き重そうだ。降雪の中撤収。テントはなんとか袋に入った。尾根のトレースは消えかかっている。下降点は昨日遠目で先行者の姿を確認していたが、その周辺はまったくトレースがなくなっていた。MNのスマホナビで下降ポイントを確認し、ラッセル下降に突入する。視界はそれほど悪くなく尾根を忠実に下る。雪が深いので大胆に下降していく。下降していくと薄らトレースらしき凹みが見え始めた。先頭を交代しながら降っていく。沢の音が聞こえ始め、対岸の尾根が近くなる。沢底に降りればあとは平地のような雪原を下るイメージだったが、降り立ったのは埋まり切っていない沢だった。

さあどこを歩くか。MNを先頭に歩き出してすぐに2番目のABが腰まで踏み抜く。なんとか脱出してOT先頭に歩きだすも気が付けばMNがいない。戻るとスコップを取り出し自分の足を掘り出していた。小さな沢の渡渉が何度もあり、なかなか大変で楽しいルートだ。夏道はどこなのかさっぱり分からない。前方全体を俯瞰しながら歩きやすそうなルートを選んでいく。

だいぶ慣れて順調に進み始めると前方から単独登山者が現れた。蓬峠まで遊びに行くとのことでアルミワカンだった。例年だと谷は埋まり切ってスキーもできると話していた。このトレースに助けられて少し進むと林道に到着した。まだ雪は深いが徐々に少なくなり、スピードアップしたABを追いかけて登山口に到着した。猿が周りでうるさい。ワカンを外し土樽駅に向かって歩く。この辺りは冬に何度か来ているが今年は雪がとても少ない。幸運にも電車到着の30分前に土樽駅到着。これを逃したら次は3時間後だ。ただ下るだけと思っていた3日目もとてもアドベンチャーで楽しいルートだった。

当初の馬蹄形はおよそ半分しか達成できなかったが、2日間はとても天気良く雪山縦走ができ、冬季限定のシシゴヤノ頭周辺のルートも歩くことができて、とても充実した3日間だった。



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