川崎山岳会夏山合宿 北アルプス 剱岳 登攀隊

日程

8月6日(土)~8月9日(火)

メンバー

リーダー:鈴木良一
サブリーダー・食料:長島伸行
装備:佐藤武志
渉外:山崎朋子
会計・記録:長友裕輝/大貫彰

行程

8月6日(土)
09:00 前日発の夜行バス乗継で室堂へに到着
09:30 室堂発
12:30 剱御前小舎
13:15 剱沢小屋
14:00 長次郎雪渓出合
16:10 熊の岩

バスで室堂に近づくにつれ、雨天に。小雨の中室堂を出発し、幕営地に到着するまで終始雨で、ときおり大降りになりました。剣沢は例年に比べ、雪渓が少なかったようです。剣沢雪渓からアイゼン装着し、長次郎雪渓出合で休憩。雪渓をつめる間、雨と低温で冬のような寒さでバテバテでしたが、熊の岩まで約2時間で上がり、行動を終了しました。
 


剣沢雪渓へ下るところ。


長次郎雪渓出合。こののちガスで視界不良に。


熊の岩で幕営。初日は終始雨でした。

8月7日(日)
八ツ峰Ⅵ峰Cフェース・Aフェース登攀
03:30 起床
05:50 Ⅵ峰Cフェース(剣稜会ルート)取付、登攀開始
07:40 Cフェースの頭<5p所要1.5h>
10:50 Ⅵ峰Aフェース(魚津高ルート)取付、登攀開始
12:15 Aフェースの頭<3p所要1.5h>
14:50  ベース着

昨日の雨はあがり天気はたまに晴れましたが、曇りでときどきガスで視界がきかなくなりました。メインのCフェース・Aフェースを優先させ、八ツ峰縦走を後回しにして取り付きました。天気は大きく崩れることはなく、鈴木さんリード・長島さん・長友、武志さんリード・大貫さん・山崎さんの2組で登攀しました。
鈴木さんのリードは安定しており、フォローは不安なく登らせて頂きました。Cフェース3p目を切ったところなどは、狭くて石も浮いており恐かったです。長友が鈴木さんのビレイ中、危うく浮石を落としそうになり、長島さんに止めて頂き事なきを得ました。



八ツ峰Ⅵ峰全容。右から2つ目がAフェース、4つ目がCフェースです。
 
Cフェース(剣稜会ルート・5p)
1~3p
早朝雪渓の脇から登り始めるので寒く、岩は濡れている、フェース状スラブ。3p目はところどころ水が流れていて膝まで濡れるほどでしたが、ホールドはガバが豊富にありました。
4p~5p…3p
目をリッジの少し手前で切ったが、リッジ直前まで上がってから切るのが正解だったようです。4p目の核心のナイフリッジは5手くらいで、高度感がありました。5pは階段でCフェースの頭に出ました。


2p目の武志さんリード。取付の雪渓が崩壊していました。


3p目、長島さんフォロー。


4p目、ナイフリッジを鈴木さんが超えるところ。



ナイフリッジ。長友フォロー。



ナイフリッジ。長友フォロー。



Cフェースの頭で、後続の武志さんを迎え入れる。

長島さん所感
楽しかった。リッジは濡れていなかったが、怖かった。ほかのところは濡れていて悪かったが、悪いところをきちんと登るいい経験になった。
武志さん所感
初リードで緊張したが、登り始めたらもう無我夢中でひたすら頑張った。4p目のリッジで、初めて景色を見る余裕ができた。楽しかった。

8月8日(月)
八ツ峰上半縦走
03:30 起床
05:40 56のコル
07:30 Ⅵ峰Dフェースの頭
08:30 Ⅶ峰(巻き道)
10:45 Ⅷ峰(巻き道)
11:30 コル(終了点)-長次郎雪渓右俣
12:30 ベース着

天気は晴れでしたが、昼から夕方にかけ時折降雨がありました。56のコルからルートがいまいち分からず30分くらい使ってしまったが、Ⅱ級10mくらいの箇所にボルトが打ち込んであるのを見つけ、登り、明瞭な踏み跡に出ました。普通の縦走路と変わらないくらいの踏み跡を辿り、Ⅵ峰Dフェースの頭で休憩。この合宿一番の好天でした。



Dフェースの頭で休憩

Dフェースの頭から懸垂下降しEフェースの頭まではガレガレだが一般縦走路とあまりかわらない。Eフェースの頭からも懸垂下降し、ガレた尾根を歩きました。Ⅶ峰、Ⅷ峰いずれも巻き道をたどったため難しい箇所はありませんでした。途中、78のコル付近から三ノ窓側にルートをはずれた小岩峰を登ってしまい時間をロスしましたが、長次郎雪渓側の岩間をクライムダウンするルートに修正しました。このクライムダウンは岩間の向こうは空しか見えない高度感で、一番緊張しました。
以降八ツ峰の頭も巻き、池ノ谷乗越へ出ました。休憩し、長次郎雪渓右俣を下降。雪渓上部は傾斜がきつくクライムダウンしましたが、シュルンドが多かったため、左岸側のガレ場も使って延々と下降し、熊の岩へ戻りました。雪渓を下る途中降雨に見舞われましたが、熊の岩で休んでいるうちにまた晴れ、図らずも行動時間が短かったためのんびり休みました。


池ノ谷乗越(縦走終了点)

8月9日(火)
本峰登頂
02:00 起床
03:00 ベース発
04:50 長次郎雪渓から稜線
05:50 本峰
07:50 前剱
09:00 一服剱
09:30 剣山荘
10:55 剱午前小舎
13:15 室堂

天気はこの合宿一番の晴れで暑い一日になりました。熊の岩を撤収し、ヘッドライトを点けて長次郎雪渓左俣を詰めました。雪渓上部で数か所シュルンドがあり、鈴木さんと大貫さんがピッケルで階段を作ってくれクリアし、朝日が上がること稜線に出ました。


朝日のなか、稜線から雪渓を望む。小さく熊の岩に張ったテントが見えます


朝日を望む

稜線からはガレてはいるが、しっかりした岩稜を1時間ほど登り本峰を踏みました。休憩し、以降縦走路を室堂に向け歩きました。カニの横ばい、前剱を超え、一服剱あたりで休憩中に、バスの時間を確認したところ、このペースでは富山行きのバスに乗れるかわからないことに気づきペースアップ。剣山荘で鈴木さんと別れ(鈴木さんは大塚さんらと合流し合宿継続)、さらにペースアップ。荷物が重く、長友はバテバテの大バテでご迷惑おかけしました。
室堂キャンプ場で携帯電波が入り、山崎さんがバスを予約してくれました。室堂に到着し、14時のバスで富山へ向かい、JR特急しらさぎで長岡、長岡から新幹線で戻り帰宅しました。
合宿を終え、アルパインの基礎はまず重い荷物を担いで長時間行動できる体力であると痛感しました。重い荷物を担いでアイゼンを履き雪渓を詰めるときはバテバテの大バテのバテバテで歯を食いしばって登りましたが、アプローチで終わっているようでは話にならないと思いました。これに懲りて精進したいと思います。


本峰にて記念撮影

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