モンブラン:4,810m マッターホルン:4,478m

日程

2011年8月6日~8月17日

山域

モンブラン 4810m
マッターホルン 4478m

メンバー:

中野久彦

行程

8/10(水)
17時にエギュイ・ディ・ミディのゴンドラ乗場でガイドのチュリーと待ち合わせ。ロープウェイで一気に3800mのエギュイ・ディ・ミディへ。日本一高い富士山よりさらに標高の高いところへ僅か20分で到達できるのには驚いた。一歩外へ踏み出せば、白銀の雪山の世界だ。天気は快晴。ガイドによれば明日も同じような天候が期待できるようだ。ロープウェイ出口でアイゼンを着け、ガイドとアンザイレンして出発。急なナイフリッジ下りきると平坦なバレー・ブランシュの氷河にでる。氷河と言っても雪原である。小屋の手前の斜面を登ると小一時間でコスミック小屋に到着する。
ガイドと一緒に食事をしながら、翌日の行動予定を確認する。1時30分に出発。朝食(夜食は1時なのでそれまでに出発できる準備するようにとの指示だ。早々に寝床にもぐり込む。日本の混雑時の山小屋と同じ状況で、畳2畳に二人の割合だ。高度の影響もあるのだろうか。目が冴えて寝付けない。

8/11(木)
殆ど寝つけないまま朝(と言っても夜中)を迎えた。朝食はホットチョコーレートの飲み物とフランスパンとチーズ。いかにもフランスらしいが食べて気がしない。ガイドと共に外にでる。外は真っ暗だが星はきれだ。思ったよりも冷え込んでいない。アイゼンを着けてすぐに出発。小屋からは緩い下りですぐ平坦になる。しばらく行くとモンブラン・タキュールの登りに差し掛かる。ここまでは快調なペースだ。一緒に出発したパーティも同じようなペースだ。暫く登りが続くがガイドのペースは落ちない。高度も影響してかペースが維持できず意識がもうろうとしてくる。後ろから来たパーティにも抜かれるようになった。3:00モンブラン・タキュール到着。5分ほど休憩を取る。傾斜が緩やかになり少し楽になる。次なる目標はモン・モディだ。行く手をさえぎる斜面は、タキュールより数段急だ。前方の斜面で雪崩が発生した。幸い誰も通過してなかった。急斜面に差し掛かると、ピッケルのピックとアイゼンのつま先を使って登る。前のパーティに追いつき、ガイドから「キープ。ロープタイト」と今度はペースが速かったようだ。なぜか急な雪壁になると元気が出てきた。急な雪壁を登り終えるとモン・モディだ。5時半になりようやく明るくなり始めた。あとは本命のモンブラン山頂まであと一息戸言いたいところだが、ここからが遠かった。行けども行けども斜面は続き、いっこうに頂上は現れない。意識がもうろうとしペースは全く上がらない。途中立ち止まってガイドから何か食べろと言われたがバテきって何も口に入らない。ただただ足を前に出すことだけを考えていた。新人のときに行った越後三山の秋合宿の辛さを25年振りに思い出していた。7:20漸くモンブラン山頂を踏むことがてきた。最初は楽勝の山と考えていたがさすがにヨーロッパ最高峰だけに登りごたえがあった。この先、グーテ小屋経由の一般ルートで帰ったが、麓の駅に着いたのは15時近くでとても長い一日であった。

マッターホルン 4478m

8/13(土)

17時にヘルンリ小屋にてガイドと待合せ。予定通り17時にヘルンリ小屋着。ガイドがまだ来ていないことを確認し、ヘルンリ稜の偵察に向かう。前穂北尾根のⅥ峰の登り程度か。小屋にもとりうろうろしていると別のツアーで来た日本人2名と出会い話をした。一人は50代前半で登頂経験があり2回目とのこと。もう一人は初めてで岩登りはかじった程度で自信がなさそうだった。久しぶりの日本語の会話をしているとガイドのウォルターさんが現れた。夕食の時間になり一緒に翌日の打合せをしながら食事をする。今度のガイドはとても陽気で、周りの人と笑いながら話していた。しかも、英語とドイツ語とフランス語?料理は山小屋とは思えないほど美味しくとてもやわらかい肉のソテーだった。おかわりOKとのことでおかわりしてお腹一杯食べた。翌朝は4時半出発。3時半には朝食の準備ができるのでそれまでに出発準備するようにとのことだった。


8/14(日)

4時半出発。この日のパーティの中では一番遅い組の出発だ。相変わらずハイペース。特にスタカットで確保することはなくところどころに出ているステンレス製の杭にロープを引っ掛けながら登っていく。途中でアイゼンを着け少し水分の補給をする。暫くすると前のパーティに追いつき追い越すようになった。高度順応ができたのかモンブランよりは身体が楽だ。それでも、頭がボーッとなり、息が切れる。少しペースを落とせば楽になるのだがどの様子は一向にない。前のパーティがスタカットで登っているのでやっと休憩できると安心していたら、横を通過しすぐ脇のルートから登り始めた。期待はあっさり裏切られた。登りきるとヘルンリ小屋だ。暫く行くと風が当たるようになり体感温度が一気に下がる。目出帽とオーバー手袋をつける。明るくなってきたのでヘッドランプはザックの中へ。息を切らしながらも、雪稜を登りきるとマッターホルンの頂上にでた。軽く食事を済ませ写真を数枚撮ると早速下山開始。ガイドから「シュー」の合図が掛かるとロープに体重を預けてテンションで降りろ。の意味。下がよく見えていないのに「シュー」の合図が・・・。仕方なく体重を預けると、下から登ってきているパーティの頭を蹴飛ばすところだった。これには、ガイドも「アイム・ソーリー」の平謝りだった。途中下山ルートが分かりずらく、ガイドが日本語で「みぎ」「ひだり」と指示してくれるのだが、左右反対だ。英語で反対だと教えるのも面倒なので頭の中で変換していたが、後半になり疲れてくると素直に従ってしまう。そのたびに、「ノー」と注意される。昼過ぎにはヘルンリ小屋に戻ることができた。天候もどうにか持ちこたえ、小屋に着いた頃からポツポツ降り始めた。目標としたマッターホルンにも登頂でき満足の余韻に浸った。



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