穂高岳 明神岳東稜

日付

2014年12月27日(土)~30日(火)

山域

穂高岳 明神岳東稜(2600M地点まで)

メンバー

L中野久彦、吉居寛記、内山克之  (記録:吉居)

概要

(はじめに)
昨年に引き続き明神東稜を計画した。今年は曜日配列的に長い休みが取れるため12/27~1/2まで7日間で計画した。メンバーも主力を中心に5名が名乗りをあげ、かなり期待感もあったが、2名がケガ等の理由で参加できなくなり一時蝶ケ岳隊への転進も考えたが、今できる事をチャレンジしたいので、計画変更せず臨んだ。
 (行動記録)
12/27(土)  晴れ
朝7時新宿発のあずさで入山。東稜隊で先発は吉居のみで明神まで蝶ケ岳隊に同行させてもらった。中の湯から上高地までの歩きは単調でつらいが、快晴に近い天気で終日穂高の山々がよく見えた。
明神で蝶ケ岳隊とわかれ、単身で末端尾根を目指す。明神橋からはラッセルとなったが20~30cm程度なので苦はなかった。末端尾根への入口も明快で迷うことなく、少し奥の平坦地で幕営した。ツエルトなので隙間から冷気が入り込みとても寒かったが、夜は木の間から見える半月が幻想的で綺麗だった。
 (コースタイム)
先発(吉居) 朝発(あずさ1号)-中の湯11:30発-末端尾根付近16:00着(幕営)
※途中まで蝶ケ岳隊に同行
大正池付近              1日目幕営地
12/28(日)   晴れ
まず吉居が先行した。昨年は雪の付き方が甘かったが、今年は雪が多く尾根の末端部にも雪がしっかり積もっており簡単に尾根に上がることができた。しばらく行くと尾根上は雪が少なくなり1900M付近までラッセルは少なくなる。
早々に待合わせ地点の1900M平坦地に到着したので、ザックをおいて40分程偵察し戻った頃に中野さんと内山くんと合流した。今日は状態が良いので長七ノ頭まで上がる事にし、頑張って出発することにした。2100Mを越すと膝までのラッセルとなり最後の雪面を登るあたりからバテながら、何とか長七ノ頭に到着し木々に囲まれ風の当たらない場所に幕営した。
夜の天気予報によると良い天気は今日までで、明日が曇り、その後は正月まで荒れるとの予報だった。行動については全員しばらくの沈黙の後、突っ込むのはあきらめ明日1日での東稜往復とした。この時点で縦走はなくなった。
(コースタイム)
先発(吉居) 7:20発-1900M10:20着(2000M付近まで偵察)
後発(中野・内山) 沢渡5:30-中の湯6:30-1900M11:30発-長七ノ頭16:30着
12/29(月) 曇り
夜に南岸低気圧が通過し新たに雪が膝上まで積もった。しかし曇りながらも風弱く登攀日和と言って良い天気だった。ラッセルしつつ第1階段へ向かい、第1階段手前の岩が現れだした所でロープを出し隔時登攀へ移行する。
1P目は雪稜を行き雪壁になった所でピッチを切る。2P目は左から雪壁を回り込んでリッジに出てその先のブッシュでピッチを切った。春は右の潅木帯から岩峰を右から回り込んだが冬は左から回り込む形となった。3P目はリッジを行き岩が露出した残置支点でピッチを切った(春もこの残置支点を利用した)。4P目は右から回り込んで幅広のリッジを行き、次の岩の露出点でピッチを切った。ここでは残置支点も潅木もないのでスタンディングアックスビレーになった。曇りながらも凍える寒さはなく、時々ガスの切れ間から長七ノ頭や蝶ケ岳を見ることができた。
ここで12時30分を過ぎタイムリミットとなり下降を開始。懸垂はせずクライムダウンで下降し16時に幕営地に到着し行動を終えた。明日の下山を決めた。
(コースタイム)
6:30発-第1階段8:30-2600M地点12:30(引き返し)-長七ノ頭16:00頃着
第1階段2ピッチ目の雪壁
12/30(火)   風雪
夜から再び雪が降り始め朝には風雪となっていた。下山開始後いきなり下り口がわからず偵察とGPSを駆使した。昨年は視界が良かったので迷うことはなかったが、視界が利かないと尾根が不明瞭な箇所がいつくもある。何度も偵察を繰り返しながらの下山となり、梓川の林道に着いたのは下山開始から6時間後に12時だった。
林道から明神までも膝までのラッセルでこたえたが、上高地まで来ると幾つものテントが張られており帰ってきたという思いがした。上高地でワカンを外し辺りが暗くなる頃に中の湯にたどり着く事ができた。予約したタクシーで沢渡を経由し松本に下山した。
(コースタイム)
長七ノ頭6:40発-林道12:00着-上高地15:00着-中の湯17:20着
(おわりに)
今年、明神東稜にリトライしたが敗退した。色々理由はあるが、結局は気持ちの問題なのでかもしれない。色々悪いことばかり考えて弱気になってしまい天候が悪くても突っ込む意気込みが沸いてこなかった。また一から出直しだ。

  • 中の湯の登山相談所では、今年例年の2倍の積雪との事だったが、ラッセル量は変わらなかった。逆に末端尾根ではブッシュが雪で埋まったため歩きやすかった。東稜も岩の上に薄く雪が着いている状態より今年の方がマシではないだろうか。
  • 東稜の第1階段は4ピッチともワカンを着けて登攀した。とにかくラッセル勝負といった印象だが、急傾斜のピッチもあるので荷物が重いとかなり苦労する。縦走するには人数と軽量化が必要。
  • 昨年に続き今年も他パーティには会わなかった。冬の明神東稜は春ほどの魅力はないという事だろうが私なりに考えると、アプローチの長さと、東稜自体の登攀要素が一ノ倉や八ケ岳ほどない点ではなかろうか。ラッセルが多い印象だが、厳冬期に縦走できれば冬山での「総合力」(私は個人的に「行動できる力」と呼んでいる)を養えると思うので良き中級ルートだと思うのだが。
  • GPSは新品のリチュウム電池を使用し衣服の肌に近い所に入れておいたら電池残量も3段階中2の状態を維持できた(昨年は最初から電池残量が最小(赤表示)状態だったので何が原因かよくわからない)。精度は10Mも誤差がないと思われ、かなり正確だった。ただ画面が小さいので2万5000の地形図を見比べながらでないと、どこにいるのか確認は難しい。当たり前の事だがGPSは地形図との併用が必須だろう。
以上

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