春山合宿(本隊)記録

日程

2011年4月29日~5月1日

山域

南アルプス 鋸岳-甲斐駒ヶ岳

メンバー

L吉居、中野、佐藤(武)、鈴木

行程

春山合宿本隊は鋸岳から甲斐駒ケ岳縦走を計画した。
直前に佐藤君の参加が決まり4名での縦走となった。

4月28日
吉居と鈴木君は21時30分発の新宿発の高速バスに乗車。中野さんは富山から、佐藤君は別動隊の長島車で合流。 1時20分に仙流荘着。ほぼ同時刻に別動隊も到着し、駐車場に天幕を張り仮眠する。

4月29日 晴れ
戸台大橋6:20- 6:40戸台 - 9:00角兵衛沢出合 - 12:00大岩下岩小屋(幕営)

5時起床。鋸岳が遠望できる。別動隊と共に記念写真撮影。
6時5分の林道バスに乗車し戸台大橋で下車。戸台には数軒の民家があり、すぐ河原に出る。河原の駐車場には3台駐車している。山ヤか釣師と思う。
河原に道らしい道はなく歩きやすい所を選んで歩くが時間をとられ疲れる。角兵衛沢出合の標識から飛び石と流木を使って川を渡り角兵衛沢へ。ルートにはテープがあり迷うことはないが鹿のフンが多い。黙々と歩き飽きてきたころ大岩下岩小屋に一番乗りで到着。
大岩下のハング内には4人用2張り、2人用2張ほど設営可能。それ以外はハングの外に出なくてはならず、落石を考えるとハング内に設営したい。
設営後吉居と鈴木で角兵衛沢を偵察に行きこの日は終了。この日は夕方に雪が舞った。この時期の南アにしては珍しい雪だった。しかし夜半に外を除くと雪は止み星が出ていた。

大岩下岩小屋にて(右側テントは奈良から来たパーティ)

4月30日 晴れ(午後風強し)
幕営地4:00-6:10角兵衛沢コル-6:50第1高点-9:30大ギャップ-10:10第2高点-11:30中ノ川乗越-13:40六合目(幕営)

2時起床。4時出発。今日も良い天気で中アが遠望できる。角兵衛沢は左岸寄り(進行右寄)を行くがトレースは明瞭でなく落石に注意しながら登る。終始ガレで辟易した。コル手前の雪渓で本格的にアイゼンを装着。コルは狭く幕営には向かない。風が強いので早々に出発。第1高点までは階段上の岩稜をひと登りで到着。

角兵衛沢のガレを詰める 

第1高点から甲斐駒方面

稜線上は雪が少ない。小ギャップで10Mほど懸垂し、急な草付きを10Mほど登り返す(冬は少々嫌らしいだろう)。尾根からはやせたリッジになるので甲州側をトラバースし、確保しながら雪ルンゼを横断~尾根を巻きぎみに上がり第2高点に出る(鹿窓を横目)。大ギャップの懸垂支点(フックスロープがある)へ向かっていくと途中で傾斜が強くなりクライムダウンできないので、尾根通しに左方向からトレースとたどり草付きに出た。古いフックスロープが甲州側にあるがロープが足りない可能性があり、懸垂支点まで確保しながら草付きをトラバースしたがホールド・スタンスとも不安定で悪かった。その間に後続のガイドパーティに別ルートから追い越されてしまった。全員揃ったところで懸垂開始。強風にあおられながらも今日のハイライトでもあるので楽しんだ。
 

第2高点へのトラバース 


大ギャップの懸垂

ギャップからは伊那側のルンゼを5分程下り左手の緩傾斜帯を巻くよう登り第3高点に到着。さらに急傾斜の雪面を下り中ノ川乗越へ。広さ的には幕営可能。
熊穴沢の頭、三ツ頭ととても長く感じる。雪の踏み抜きと強風で歩きづらく2時間以上歩いて六合目石室に到着した。石室は新しくなっており大いに期待したが、雪で扉が開かず使えなかった。結局少し戻った平坦地に幕営した。先行していたガイドパーティは撤退すると言って三ツ頭方向に戻っていった。
夕方から小雨が降ってきたがフライを持ってきているので水浸しの心配はなかった。
明日の行動は朝の天気を見て決めることにした。

5月1日 雨(甲斐駒山頂はみぞれ、終日風強し)
幕営地4:10- 7:00甲斐駒ケ岳 - 8:10駒津峰 - 仙水峠 - 北沢峠 - 歌宿

風は強いが雨は強くないので相談の上、甲斐駒ケ岳を目指すことにした。トレースはなく、終始雨・雪・風に打たれ全身ずぶ濡れでの登りとなった。夏タイムでは1時間半だが倍かかり無人の山頂に到着した。武志君や鈴木君はまだ余裕があるように見えたが、私は喜び皆無。早く樹林帯まで下り雨風をしのぎたかった。
駒津峰の手前で中野さんと布田さんで交信し、別動隊は雨のため既に下山中とのこと。正しい選択だと思った。仙水峠経由で北沢峠に到着。長衛荘でお茶をしながらストーブに温まりバスの時間調整をする。上から下まで全部濡れていたのでとても助かった。
長衛荘を出るころには雨も弱くなり、歌宿までは景色を楽しみながら下山できた。1時15分のバスがガラガラ。バスの運ちゃんが2代目長衛と鋸岳を縦走した話しを聞かせてくれた。楽しい運ちゃんだった。帰川は中野さんの車に乗せてもらい大渋滞にまきこまれながらも夜11時には自宅に帰ることができた。

最後に
南アで2600Mクラスということで少々軽く見ていたが手強い相手だと感じた。
理由は以下の通り
1)安全なエスケープルートがない
 (角兵衛沢、熊穴沢、丹渓山荘-赤河原コースとも)
2)角兵衛沢は雪質の見極めが必要
 (沢の傾斜強く、逃げ場所がなく、歩行時間が長い)
3)熊穴沢の頭~六合目石室間はラッセルになる
 (鋸を越えて疲れた所にラッセルが待っている)
4)六合目石室~甲斐駒山頂までも長い
冬に向けての気概を持って望まなければならないルートだと感じた。

以上

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