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登山とアミノ酸

2010.7.12
川崎山岳会 指導 布田仁

まえがき
 登山やハイキングでは疲れたり、筋肉痛になったりします。そんなときアミノ酸を摂取すると効果があるようです。自分自身も十分に中高年となり、体力の衰えを感じるようになりました。あまりサプリメント(健康補助食品)をこれまで摂取しておりませんでしたが、最近はアミノ酸を使い始めました。市民登山や山岳会でも参加者に使ってもらいましたので山でのその使い方や効果をまとめてみます。

なお本文は神奈川県山岳連盟指導員総会の時、研修として味の素の片山先生の講義があり、その内容と布田個人の経験をもとに作成したもので、効果を保証するものではありません。数値については参考資料から引用させていただきました。

1、アミノ酸について

アミノ酸は薬ではありません。食品と思ってよいでしょう。食品に含まれる栄養素には糖質(炭水化物)、脂質、タンパク質がよく知られており、ほかにミネラルやビタミンが含まれております。アミノ酸は三大栄養素のひとつタンパク質が分解したもので人間の体を構成するものです。筋肉や皮膚、髪の毛か内臓などはすべてアミノ酸からなっていると言っても過言ではありません。ちなみに人間の構成要素は水分約60% タンパク質(アミノ酸)約20%脂肪約15% 糖質その他約5%です。
 このアミノ酸は食品からしか摂ることができない必須アミノン酸と、ほかのアミノ酸を使い、体内でつくることのできる非必須アミノン酸があります。筋肉を作っているアミノ酸のうちBCAAと呼ばれる3種類のアミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)は筋肉を動かすエネルギーとしても使われます。BCAAは必須アミノ酸であり、筋肉の30%を占めており、不足すると疲労や筋肉痛になります。
 筋肉を働かせるエネルギーは第1に糖質(主にブドウ糖)であるグリコーゲンです。グリコーゲンは主に筋肉と肝臓に蓄えられており、その量は大体1800kcal分ぐらいと言われています。グリコーゲンの次に使われるのは脂肪でその蓄積量はグリコーゲンの約30倍あります。その後、蛋白質(アミノ酸)が使われる訳ですが、登山など激しい運動をする場合、例えば足の筋肉にグリコーゲンが十分に供給される訳ではありません。そのときはアミノ酸でできた筋肉を破壊してエネルギーとして使うことになります。これが後の筋肉痛になります。そして、この壊れた筋肉を補修するのはアミノ酸(BCAA)が必要になります。

2、アミノ酸の摂取

 タンパク質である肉を口から食べると胃や腸で分解され腸で吸収され、血液を介して全身に配給されますがアミノ酸になるまで3-4時間かかるといわれています。この点アミノ酸を直接摂取すると、酵素で分解するといった工程がありませんので20-30分で吸収されます。登山前アミノ酸を摂取することで30分後には効果が出てきます。
 山小屋や幕営地に着いたらアミノ酸をまた飲むと筋肉痛になりにくいと思います。
 私は縦走登山のように長い時間歩く場合、登り始めと4-5時間歩いた時と到着時の3回摂取すると効果があると思っています。しかしアミノ酸も結構高価ですので1-2回の摂取がほとんどです。それでも確かに翌日の筋肉痛や疲労が残るといったことが少ないようで、効果は確実に感じております。

 摂取量は、たとえば、味の素のアミノバイタルにはプロ用3,600mgと普通の2,200mgの2種類あります。プロ用は12種類、普通用は5種類のアミノ酸が含まれております。どちらもバリン、ロイシン、イソロイシンのBCAAはほぼ同量含まれており、ほかに血管拡張に効果のあるアルギニンや甘味成分のグルタミンが含まれています。BCAAのアミノ酸は苦味を持っており、おいしくは飲めないので甘味成分であるグルタミンを加えたと思われます。アルギニンは腸から摂取されたアミノ酸を血管を使って全身に送るとき、血管拡張に効果のあるアルギニンを加え速効性を高めたようです。これらのグルタミンやアルギニンは必須アミノ酸ではなく非必須アミノ酸です。非必須アミノ酸はほかのアミノ酸から体内でつくることができますのでBCAAのようにどうしても取り込まなくても良いはずです。プロ3,600mgは200円以上しますので普通の2,200mg(120円程度)でも十分と思っています。2000m級の山の登山には2,200mgで3000m級の山では3,600mgといった使い方でもよいと思います。

 アミノ酸は食品と言いました。食品であればいつ食べても良いはずで実際アミノ酸を多く摂っても問題はありません。過剰に摂取しても尿となって体外に出てしまい、問題はありません。薬品でしたら食前、食後とは服用するタイミングがありますがアミノ酸は食品ですのでいつでも摂取して構わないとういうわけです。
 山の連中はお酒が大好きで、お酒とアミノ酸を一緒の飲んでも良いかとの質問を受けたことがあります。唐揚げの肉はタンパク質で分解すればアミノ酸となりますので唐揚げにビールを飲むと同じで、別に構いません。ただし、ビールの炭酸と顆粒状のアミノバイタルを一緒に口に入れると口から泡が噴き出てしまいますのでお薦めはできません。

 山岳会の80歳を超える長老にアミノ酸を摂取してもらったことがあります。最初は筋肉痛にならないように3,600mgのプロ用を摂取してもらいました。その時はしばらくして下痢になってしまいました。どうも日頃あまり肉類を食していないようで、御飯が大好きで毎食食さないと食事をした気にならないと言っており、急に大量のアミノ酸を摂取したため、下痢をしたようです。それからは2,200mg か、3,600mgの半分を摂取してもらっております。若い人は日頃から牛丼や肉類を食しておりますのでこんな心配はしておりません。その後ハイキングや登山の時摂取しており、効果があるようです。もともと元気な先輩ですので筋肉痛などなかったのかもしれませんが。

3、まとめ

 山では食事や行動食の摂取に内容や量、そして時間(タイミング)にも制限があります。このような登山ではアミノ酸のサプリメントは疲労や筋肉痛の軽減に効果があります。基本は食物から摂取すべきですがアミノ酸のようなサプリメントも有効と思いますので活用してみては如何でしょうか。

以上

【参考資料】 ・スポーツとアミノ酸 味の素
・アミノ酸がわかる  味の素
・スポーツニュートリション2010アミノバイタル
 味の素  http://www.aminovital.com/

アミノ酸イメージ
*アミノバイタルは味の素鰍フ登録商標です。

■アミノ酸の種類 20種類

必須アミノ酸  9種類 
体内でつくることが出来ない。食物で摂る。
・バリン ●
・リジン
・ヒスチジン
・ロイシン●
・メチオニン
・トリプトファン
・ストオニン
・フェニルアラニン
・イソロイシン●
*BCAA:バリン、ロイシン、イソロイシンの総称

 

非必須アミノ酸 11種類 
他のアミノ酸でつくることが可能。
・グリシン
・セリン
・グルタミン
・チロシン
・グルタミン酸
・アラニン
・プロリン
・システィン
・アスパラギン
・アスパラギン酸
・アルギニン

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