2013冬山合宿 明神岳東稜(敗退)

日程

2013年12月28日(土)~30日(月)

メンバー

L吉居、中野、大塚、望永

記録

吉居

行程

(はじめに)
年初に冬山合宿の目標ルートを明神岳東稜とした。今の企画係のメンバーが目指すルートとして可能なルートだと考えたからだ。5月の春山合宿で明神~長七ノコル~主峰~Ⅴ峰~南西稜をトレースし冬のルートを確認した。春山合宿では明神から宮川谷を横断したが、雪崩リスクを避けるため冬山合宿では長七ノ頭からのびる尾根をアプローチに選択した。
一方で、冬山合宿で5日以上山行期間を確保できたのは、中野さんと望永さんのみであり2人での明神岳東稜の縦走は厳しいと言わざるを得ず、最終的には31日まで参加可能な吉居と大塚君を含めた4名で31日までの3泊4日での計画となった。
(行動記録)
■12/27(金)
川崎組は22時に登戸駅に集合。別動隊の布田さんと水野さんも同乗し大塚車で沢渡へ。
深夜2時前に到着。駐車場には10cm程度の積雪があり風もあり寒い。テントを張り3時前に就寝。中野さんは6時に合流予定。
■12/28(土)  曇り(気温低い)
事前の予報では28日は寒気が流入し、標高3000mでマイナス20℃以下との予報が出ている通り寒い。
5時30分起床し、6時30分にタクシー2台で釜トンネル入口へ。
7時、計画書を投函し出発。大正池手前までは除雪車が入っており快調。
8時大正池ホテル着。その後も上高地まではトレースあり。9時10分上高地着。
上高地からは途中でワカンを付け11時明神着。ここで徳沢へ向かう布田さんと水野さんと別れ、我々は明神橋を渡る。
12時頃尾根末端の周辺に到着。樹木にテープがあり、そこから尾根に取り付こうとするが、緩やかな斜面を登るばかりで一向に尾根に取り付けないため、一旦小沢に下ってから尾根に取り付いた。取付点が少々わかりづらい。尾根の下半部はブッシュなく、ラッセルもあまりなく歩きやすい。傾斜も緩やかなので1900m付近までは幕営地は見つけやすい。
重い荷物に私が遅れだし、15時1800m付近で幕営とした。
この日は終日小雪が舞い、寒い1日だった。
(コースタイム)
7:00釜トンネル入口-9:10上高地-11:00末端尾根取付-15:00 1800m幕営地

■12/29(日) 晴れのち曇り
天気は上々。樹林の間から常念岳が見える。6時30分出発。ラッセルが少なければ長七ノ頭まで標高差500mなので、10時には到着できる可能性があり、頑張れば今日中にラクダノコルまで行けるかもしれないという期待感もあった。
だが、出だしから膝までのラッセルと2000m付近からはブッシュが濃くなり高度を稼げない。長七ノ頭付近では股下までのラッセル(身長180の私で股下)となり、幕営地から5時間かけて11時30分に長七ノコルに到着した。この頃には稜線がガスに包まれていた。宮川谷からのトレースはなく他に東稜の入山はないように思えた。コルで今後の行動について協議した結果、偵察を兼ねてこの日は可能な限り幕営地を上げるため第1階段付近まで往復した。幕営地はコルから50m上がったところの平坦地に設営した。
天幕で明日以降の行動を協議したが、東稜上もラッセルが予想され明日1日かけても稜線へ抜けられる可能性が低いことから縦走は断念した。東稜往復も検討したが1日で主峰往復も時間的余裕なく、東稜を行ける所までで引返すプランに意義も見いだせず、最終的に翌日下山に決定した。夕方、別動隊の布田さんとの無線交信を試みたが通じなかった。 今日は午前中に数時間晴れ間が見えたが、午後からガスとなり雪が舞った。
(コースタイム)
6:30出発-11:30長七ノコル-13:30第1階段手前引返地点-14:00 幕営地



■12/30(月)  晴れのち曇り
朝日が東稜を照らし少々残念だが振り返らず7時出発。尾根上部で2カ所尾根を踏みかえる必要があり探しながら下る。10時30分林道着。明神から上高地へはしっかりトレースが出来ており歩行時間はおおむね夏と同じ。上高地でタクシーを予約し14時40分釜トンネル入口に到着した。目標を達成できなかったのは残念だが、なるべくしてなった結果のように思えた。
(コースタイム)
7:00出発-10:30末端尾根取付地点-13:00上高地-14:40釜トンネル入口


(コメント)

  • 入山前日に松本のタクシー会社2社に電話で予約を入れたが、早朝に沢渡まで来てくれる運転手が少なく予約しないと、希望通りの時間に来てくれない
  • 長七ノ頭の尾根の末端は林道から奥まったところから始まっており、地図上で尾根への入口と思われるテープ地点から林道を20m行き、左手に倒木のある窪地状(小さな沢)に入る。50m先に尾根末端がある。
  • 長七ノ頭からの尾根には所々赤テープがあり、利用されていると思われる。
  • 厳冬期のアプローチとして、宮川谷横断か長七ノ頭尾根のどちらが有利か考えた場合、体力的には宮川谷横断の方が少ないアルバイトで済むと思われるが、雪質が安定するまで宮川ノコルから動けない点で行動の見通しが立たない。また宮川ノコルから長七ノコルまでを雪崩の巣の中速攻で登りきる体力とラッセル技術が必要となる。一方、長七ノ頭の尾根は遠回りの印象はあるがルート的に難しい所もなく、雪崩の心配もないため厳冬期に適したアプローチであると私は思う。
  • 東稜の第1階段直下まで偵察したが終始膝までのラッセルだった。東稜は第1階段付近とバットレス付近以外は傾斜が緩やかなので、ルートの大半がラッセルと思われ体力勝負のルートであると思う。
    また、田中さんより雪崩の指摘があった第1階段付近は、上部が幅広い尾根の雪壁状となっており、雪崩に注意が必要と感じた。
  • GPS(Magellan eXplorist610)について、新品のリチュウム電池を使用したが、最初から電池残量が最小(赤表示)状態だった。インナー胸元に入れておいたら、多少改善したが(黄表示)最小に変わりなかった。
       だた、最終日は電源を入れたまま下山後まで電池切れになることはなかったので、残量最小でも一定時間稼働できることがわかった。望永さんの八ヶ岳での使用実績から厳冬期でも新品リチュウム電池を使用すれば最低2日間は稼働可能と思われる。

コメントを残す