夏合宿 立山・剱岳

日程:

2019年8月10日~8月15日

メンバー:

L中野、大塚、望永、山下、寺島

行程:

●2019年8月10日(土)
【別山の岩場】
メンバー:L 中野、望永、山下(記録)
7:00 立山駅出発、8:00室堂着、8:30 室堂出発、9:00 雷鳥沢キャンプ場にて望永さんと合流、 11:00 剱御前、11:30 剱沢キャンプ場にてテント設営、小休止、13:20 別山の岩場へ出発、
14:00~16:00 別山の岩場にてマルチピッチクライミングの練習、16:30 剱沢キャンプ場へ下山

快晴の中、室堂を出発し、一路剱沢へ。久々の夏の北アルプス。高山植物がまさ咲いており、目を楽しませてくれる。剱沢キャンプ場にて、テント設営後は、翌日の本峰南壁の登攀に向けて、別山の岩場にてマルチピッチクライミングの練習。岩場自体は剱沢のキャンプ場から見える場所。
キャンプ場後方のガレ場を登り、取り付きへ。中央稜を登攀。
1P目:クラックからスタート。トップは中野さん。古い残置のハーケンやボルトがいくつかある。20Mぐらいでピッチを切り、2P目へ。2P目、一箇所少し悪いかもしれない、と思うところがあったが、手を伸ばすと安定したガバがある。3Pで終了するルートだが、時間が16:00頃になり、時間的に厳しくなったため、懸垂下降で折り、幕場へ。翌日の登攀へ向け、良い練習になった。
 

【立山三山縦走】
メンバー:L大塚(記録)、寺島
8:30室堂、9:30一の越、10:10雄山、11:00大汝山、11:30富士ノ折立、12:00真砂岳、12:45別山、14:00剱沢キャンプ場
2年ぶりの剱岳合宿、何年かぶりかの立山縦走。立山は遠い。2年前は2時間の仮眠時間があったが今回は30分しか寝られなかった。室堂から整備された路をたどり一の越へ。小学校の学校登山の集団を追い越し雄山。雄山から先も人が多い。天気も良く、途中で休憩のたびに眠くなる。別山岩場練習組の様子を見に別山北峰の先から別山の岩場方面へ少し下降してみるが、誰もいない。14時に剣沢キャンプ場に到着。暑い。昼寝したいが、日陰がなく、何をしても暑い。岩場から中野さんと望永さんのコールが聞こえるが姿は見つけられない。暑さが落ち着いたころに別山岩場組と合流した。

●2019年8月11日(日)
【本峰南壁】
メンバー:L 中野、望永、山下(記録)
2:00 起床、3:30 出発、6:30 平蔵の頭、7:00 本峰南壁取り付き、7:30 登攀開始、
12:00 剱岳山頂、16:30 下山
この日も快晴。3時半に出発するも、早くも別山尾根上にはヘッドライトの光の行列が。さすがお盆休み。前剱や平蔵の頭で渋滞に捕まる。カニのタテバイの渋滞を横目に見つつ、平蔵谷の雪渓下部を通過し、本峰南壁の取り付きへ。アイゼンとピッケルを持参したが、雪渓上を通らずに済んだため使わなかった。トップ中野さん、セカンド山下、ラスト 望永さんで登りだす。1P目 ほぼ直登。25Mぐらいでピッチを切る。古いボルトが豊富にあるが、かなり古いためどこまで信用できるのか。ホールドは安定している。2P目 右上していく。浮石がかなりある。下から別のパーティが上がってきて、立てる場所があるか聞かれるが、ビレイ地点に他のパーティが立てる場所はない。浮石を落とさないよう注意する。3P目 右上してから直登。待っている間に足を動かすと、岩も動いてしまうため、極力じっとしているようにするが、これがなかなか難しい。暑さで水分がひたすら欲しくなる。4P目 ピナクルで支点。高度感のある場所。ひたすら落ちないよう祈りつつ登るが、手も足もホールドがしっかりとある。源次郎尾根方面から、大きな蚊の泣くような音が。ドローンだ。昨夜幕場でドローンが頭上にあり、今回の山行では、ドローンの音というのを覚えた。いずれにしても気が散る。ドローンが去った後は、ヘリが来て、しばらくホバリング。トップの中野さんへ声が届かない。まずい。と思ったところで、ヘリが去った。5P目 終了点まであと少しだ。気を引き締めてひたすら登る。途中ロープが引っかかり焦るが、望永さんのアドバイスのもと、岩にひっかかったロープを避けて、再び登りだす。6P目 必要ないかもしれないが、念の為、ロープを出していただく。足場が安定した場所で、装備を解除し、あとはひたすら山頂へ。山頂で小休止後は下山開始。カニのヨコバイ手前から、全く動かない渋滞につかまる。時々登って来る方もいて、更に渋滞。ひたすら待つしかない。剱岳へ何度も来ている中野さん、望永さんも味わった事がないという下山時の渋滞。渋滞が解消してからは、ひたすら下山。暑すぎて、さすがに疲れる。下山後は小宴会後、就寝。本チャンは、楽しかったが、体力、技術面ともに課題が残る登攀となった。
 

【奥大日岳往復】
メンバー:L大塚(記録)、寺島
7:00剱沢キャンプ場、7:45剣御前小舎、8:45新室堂乗越、9:50奥大日岳、14:00剱沢キャンプ場
ゆっくりと出発。今日も暑い。奥大日岳方面も意外と人が多い。ルートは短いがとにかく暑い。雪渓の雪をビニール袋に入れて帽子の中に入れて歩く。気持ちがいい。
本峰南壁組の帰着時間を予想してキャンプ場に戻る。今日はツエルトをタープ状に広げて日陰を作って休憩して待つ。しかし、なかなか戻ってこない。(寺島君が)夕食の準備をして待っていると皆疲れ切った表情で戻ってきた。ひどい渋滞だったようだ。

●2019年8月12日(月)
【剱岳 別山尾根往復】
メンバー:L望永、寺島(記録)
1:30 起床、2:45 出発、5:30 剱岳山頂、9:00 剱沢キャンプ場
 暗い中ヘッドランプをを点け出発。剣山荘までに雪渓を1本渡った。剣山荘にはこれから登る人たちが準備・出発していた。剣山荘から先は岩場になり、浮石を落とさないように進んだ。剱沢キャンプ場を見ると、短時間でぐんぐん高度を上げているのがわかった。一服剱を超えて水分補給をしたとき、周りに明かりがなく星がきれいに見えた。
 前剱の上りでは斜度は更に急になり、両手を使って登る場所ばかりになった。前剱のピークでは渋滞が発生し渋滞中に水分補給をした。幸い全員ピークで休憩を取ったので、抜いていくことができた。
 前剱をすぎると切れ落ちている箇所が多くなった。岩が丸くなってきて、掴みづらいところも増えてきた。カニのタテバイでは望永さんの登り方を見て通過した。山頂に着くと2日間縦走した山が見渡せた。休憩の後お参りを済ませ下山開始。
 下りは望永さんにホールドの場所を教えてもらいながら降りた。帰りは前剱にもより水分補給した。前日に水を2L近く消費したので、持っていったがほとんど飲まなかった。
 剱岳は全体的にスリリングで岩だらけだったので、手足をすべて使いのぼった。手の筋肉も使って登れるので足は縦走より疲れなかった。下りのときにホールドを見つけづらかったので、次からは体を岩から離すように注意する。
 

【八ツ峰下半】
メンバー:L中野、大塚(記録)
3:30剱沢キャンプ場、5:20Ⅰ・Ⅱ峰間ルンゼ取付き、9:00Ⅰ・Ⅱ峰間コル、13:00Ⅴ・Ⅵのコル、14:30熊の岩
別山尾根組を見送り、少し遅れて出発する。多くのパーティが先行している。Ⅰ・Ⅱ峰間ルンゼに取付いているパーティは見えない。荷が重いためちょっとした登りが大変だ。途中でスラブの傾斜が高くなり、右岸の踏み跡を追って枝沢に入ったが上部に広がるスラブ帯を避けていくとどんどん本流から離れてしまったため、下降して再度本流に戻る。1時間ほどロスし本流に復帰したところで4人組の後続パーティに追いつかれる。彼らも全装備を背負っているが軽快に登っていく。狭いコルに到着。後続4人パーティはⅠ峰往復するようだ。我々は先(Ⅱ峰方面)へ進む。Ⅱ峰からの懸垂下降。先が見えない。少し降りるとギャップがあり、乗り越えに気を遣う。懸垂後にロープが回収できずに時間を要した。
Ⅱ峰懸垂後スラブの登りから這い松漕ぎが少しあり、Ⅲ峰。再度懸垂下降。
Ⅳ峰はリッジ通しと長次郎谷側にも踏み跡がある。リッジ通しを歩いていると後続パーティから巻いた方がいいとの助言あり。ちょうどルートが確認できなくなったところであり、戻って巻道の踏み跡をたどる。Ⅳ峰からは長い懸垂下降。コルよりも三の窓側に下降した。ここからルートが判然としない。少し下ってガレたルンゼを上がると踏み跡を発見した。長い緩やかな登りでⅤ峰に到着。すでに12時を回っており上半は諦めて熊の岩を本日のゴールとする。ゴールが近づいたため少し贅沢に水を飲み休憩する。Ⅴ峰の下りは長次郎谷側に短い懸垂下降を3回、その後踏み跡に従ってコルへ回り込み懸垂下降1回でⅤ・Ⅵのコルへ降り立った。Ⅵ峰フェースの基部を辿って、できるだけ高度を下げずに熊の岩へ到着した。
別パーティの仲間がCフェースの登攀後戻ってこないことで周辺少しざわついたが、19時頃帰着したようだった。懸垂下降の方向を間違えたようだ。2年前は望永さんのナビで下降したが、初見では難しい下降であると思う。

●2019年8月13日(火)
【チンネ中央チムニー】
メンバー:L中野、大塚(記録)
3:00熊の岩、3:40池ノ谷乗越、4:30三ノ窓、6:00中央チムニー取付き、10:30チンネの頭、12:00熊ノ岩、14:10長次郎のコル、15:00剱岳本峰、17:40剣山荘、19:00剱沢キャンプ場
本合宿の私(大塚)の中でのメインイベントの日。初チンネの登攀であり周辺地形の概要を知ることが目的。長次郎谷の右俣から池の谷乗越。そして悪い噂の池の谷ガリー。先行パーティがすでに下降しているので落石に気を遣う。ちょうど日が昇るタイミングで三の窓に到着。ゆっくり準備していると次々と後続パーティが追い越して、左稜線ルートの取付きに向かっていった。あちらはだいぶ盛況のようだ。中央チムニーのルートを中野さんと確認しながた取付くに向かう。少し岩を登り、テラスで登攀準備する。
1P(大塚):チムニーの右壁&リッジを登る。40m強ロープを伸ばし、残置ハーケンとカムで支点構築する。2P(中野):数m登って安定したテラスがあったため、一度ピッチを切る。3P(大塚):中央バンドの少し下まで40m程度ロープを伸ばす。中央バンド下は少しザレており落石に注意が必要。
中央バンドまで歩き、休憩。その後4P目の開始地点までコンテで進む。
4P(中野)aバンド:バンドとあるが水平には数mのみでその後右上するルートとなる。
5P(大塚)bクラック:クラックとあるが、イメージしていたクラックとはだいぶ違う。浅い凹角といった感じ。途中に1人立てるテラスがある。
6P(中野)bクラック;上部は少し脆い箇所があり注意が必要。
1P目登攀中に後続2人パーティが到着し、我々の後に続いた。神戸のクラブでベテランと若手の組み合わせで、ベテランの方と会話を楽しみながら登った。
特別困難な場所もなく登攀を終了し熊の岩へ帰着。まだ昼であったこと、酒もつまみも少ないこと、暑く日陰がないこと、剱沢までコースタイムで5時間程度であることから剱沢キャンプへ移動することにした。しかし既にこの日9時間行動しており、合宿4日目で疲労も溜まっているのをこの2人は忘れていたらしい。今日も暑い長次郎谷左俣を登り、本峰へ15時到着。だいぶペースが落ちている。大塚の朝からの腹痛も限界にきており、前剱で先行して下山を開始する。剣山荘まで走って下りトイレに直行。ついでにオレンジジュースとコーラをがぶ飲みして中野さんを待つ。19時に日暮れとともに剱沢キャンプ場到着。到着してテント設営完了後に雨が降ってきた。ぎりぎりセーフ。この日は16時間行動となった。

●2019年8月14日(水)
【下山】
メンバー:L中野、大塚
4:30剱沢キャンプ場、5:40剣御前小舎、8:00室堂
今日も晴天。暑くなる前に下山した。

感想

■中野
天候に恵まれフル稼働の合宿であった。
フル装備を背負っての八ッ峰は暑さも加わり超ハードでした。
下半部が精一杯で上半部は遥か及ばずです。
チンネ中央チムニーは空いていて十分楽しめました。
熊ノ岩に戻ってからの剣沢までの移動は、後半バテバテでした。
全体を通して充実した満足できる山行でした。

■山下
久しぶりの剱岳。恐らく初めての本チャン。荷物が肩にグイグイと食い込み、6月7月の雨はどこへやらの暑さと、重い荷物に疲労困憊でしたが、パーティーの皆様の支えもあって、なんとか岩登りを楽しむ事ができました。天候が悪くても嫌なものですが、天候が良すぎても暑くてなかなか困る、と贅沢をもいえる思いを抱えつつ、なんとか無事に怪我や事故なく合宿を終える事ができて良かったと思います。次なる課題に向けて、また練習します。

■大塚
2年前の剱合宿は天候悪く予定の山行ができなかったが、今年は好天続きでほぼ予定どおりの山行を実現できた。久しぶりに重いザックを背負って沢山歩き充実した山行になった。

■望永
登攀チームの安定したアルパインクライミング、北アルプスのピークを堪能、2人の女子会員のマルチピッチクライミングの挑戦、剱岳の初登頂!
など、その日ごとのグループを組み、山岳会らしい充実した山行となった。
目的ごとに縦割りで山行し、メンバー同士が関わり合えない合宿になってしまいがちだが、こういう形の合宿ができたことがとてもうれしく思う。
会のメンバーにはそれぞれ登山の目的がある。岩を登りたい人、歩きたいひと、バリエーションルートからピークに行きたいひとなどなど、それぞれだ。
メンバーそれぞれ目的に沿った企画を立てるのは本当に難しいが、それぞれのメンバーが少しずつ力をつけ、お互いにサポートしあえるようになっていけば、今回のような合宿ができるような気がしている。今年の夏合宿は本当に楽しかった!ありがとうございました!

今年は残念ながら参加できなかった会員の皆様!
みんなと登るチャンスです!ぜひ合宿・会山行に参加ください!!

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