八ヶ岳 稲子岳南壁 左カンテ

日付

2015年6月28日(日)

メンバー

L大塚、望永、内山

山域

八ヶ岳・稲子岳南壁

記録

内山

行程


2015年6月28日(日)/晴
 朝、大塚さんの車で川崎市内を出発。7:00、稲子湯登山口の駐車場に到着。梅雨の晴れ間だけあり、15台程度のスペースは満車に近い。ひとまず登攀具はザックにしまって登山道を歩き始める。
 8:00、シラビソ小屋着。週末のこの日、テント場には小さな子どもの姿も見られた。小休止をしてから登山道を先へ進む。取り付きへは登山道から真北に向かう見当だが、目星を付けていた分岐ポイントが思いのほか分かりにくい。結局、本沢温泉への分岐から300m程の場所で登山道と別れた。
 始めは疎らな樹林の中を歩けそうな場所を踏んで行く。やがて足元は苔むしてフカフカしてくる。踏み抜きそうで怖い。この苔むした樹林を縦断すると、木々の間からこれから取り付く南壁が目の前に見える。さらに真北を指して進む。ここから先は藪漕ぎになるが、前方に大岩が積み重なった急斜面が見えているため、方向を誤ることはない。南壁の基部へはその急傾斜を登ったが、その付近だけ斜面の樹林が切れており実に明瞭な目印となる。

大岩の傾斜を登りきると南壁の基部に着く。我々が目指す左カンテルートの取り付きへは、ルート図に従い南壁基部を左方向へトラバースする。危険な箇所もなく、しばらく行くと赤テープが見えてくる。
 10:20に取り付きに到着したが、先行パーティー(4名)がいたため待機。10:55に登攀を開始する。
[1P目/30m]
凹角から。出だしのフットホールドがやや細かく戸惑うが、少し伸びればガバホールドに手が届く。凹角を抜けてから左上ぎみに進むと1P目の終了点がある。ペツルのボルトアンカー3本が打たれている。
[2P目/30m]
凹角から始まる。最初の一足目がまたしても細かいが、手はガバホールドがある。ステミングで登る。終了点はペツルのボルトアンカーとリングボルトが打たれている。
[3P目/40m]
チムニーに取り付く。ここも最初の一足が細かいが、ステミングでチムニーを上がっていく。左上してチムニーを抜け、Ⅱ級程度の階段状の岩場を登る。途中(2P目終了点から30m程だろうか?)にペツルのボルトアンカーが打たれているポイントがあるが、今回はさらに延ばして階段状が終わるところでピッチを切った。ここは残置のピトン2本があったが、カムでバックアップを取って支点とした。

3P目を下方にあるペツルのボルトアンカーで切った場合、次のピッチのロープの流れがスムーズになると思われる(後述)。が、今回は先行パーティーがいたため、回り込んでさらに上まで延ばした。
[4P目/20m]
我々が3P目の終了点とした所から右方へ1.5m程トラバースし、岩の隙間(人とザックがやっと通れる程度)をくぐり抜けてからフェースを登り始める。この隙間の縁でロープが折り返す状態になるため、大塚さんは足元下方の支点1ヵ所でランニングを取ってロープがスムーズに流れるようにしていた。前のピッチを下方の終了点で切った場合、岩をくぐり抜けた向こう側のフェースを右下方から回り込むようにルートが付いている。そのため、今回大塚さんが取ったこの一手間を回避できる。
このピッチのフェースは高度感がありこのルートの核心と言われているが、皆が難なく越えた。終了点に人工のアンカーはなく、2ヵ所の岩にスリングを回して支点構築。
[5P目/15m]
クラックが2本入った10m程の高さの大岩を登る。向かって左側のクラックはやや難しいようで、今回は右側のクラックを使う。最初の一足がハイステップぎみになるが、手は左方の狭いクラックを使える。この大岩の上がルート終了点。
 終了点から稜線までのザレた斜面は一面がコマクサの保護地区になっているため十分に注意したい。保護地区と稜線の境目には電気柵が設置してあるが、10m程東側の鞍部のように見える辺りは地面と最下の電線の間が広くなっており、その下をくぐり抜ける。14:20に登攀終了。稜線上の広くなった場所で登攀具を片づけ、休憩。

下山は稜線上を西へ進み、赤テープに導かれてよく踏まれた作業道を歩く。途中、斜面が崩壊してできた大岩や倒木が積み重なった一帯を横切る。ここでルートを見誤りやすいが、少し下ったところからその先のルートを示す赤テープが見える(このルートをアプローチに使う場合は、逆に上へ上へと登れば赤テープが見付かるはずだ)。崩壊帯を抜けるとすぐに登山道に出合う。
 16:00、シラビソ小屋に着、大休止。かねてより望永さんが夢に見続けた「シラビソ小屋のコーヒータイム」が実現した。ミドリ池と稲子岳南壁をバックにいつもの山行とは違った、ゆったりとしたひとときを過ごした。
 17:15、駐車場へ下山。帰路、登山口からほど近いところにある「八峰(やっほー)の湯」で汗を流し、温泉施設内で食事をしてから帰路に就いた。

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