個人山行 大朝日岳

メンバー:

L伊東、SL山下、他2名、計4名

山行目的:

秋色に染まる朝日連峰の稜線を歩く

行程:

●2018年10月6日 古寺鉱泉~大朝日岳(日帰り・ピストン山行):
前日(10/5)古寺鉱泉下駐車場にて車中(テント)泊。
古寺鉱泉下駐車場(655m)~古寺鉱泉~一服清水~ハナヌキ峰分岐~三沢清水~古寺山(1500m)~小朝日岳(1647m)~
銀玉水~大朝日小屋(1780m)~大朝日岳(1870m)~銀玉水~古寺山~三沢清水~一服清水~古寺鉱泉下駐車場
歩行時間:合計 約10時間20分、合計歩行距離:17.7km、累積標高(上り):1643 m、累積標高(下り):1629 m

今年は猛暑だったせいか、紅葉が遅れているようで、ちょうど10月の連休あたりが北アルプスや東北の山の紅葉ピークになるだろうと、秋の紅葉で有名な大朝日岳の山行(朝日鉱泉から小朝日岳経由大朝日岳山頂避難小屋1泊、御影森山経由の周遊山行)を計画。大朝日小屋で食べる食材の用意もしていた矢先に、えっ!また台風が発生!?今年はお盆から天候が安定せず、9月はほとんど雨の状態。それに追い打ちをかけるように、台風がひっきりなしにやってくる。そして先週と同様のルートで10月の連休にも容赦なくまた第25号がやって来るとのこと・・。秋の紅葉ショーが見られると期待していただけに、この台風の襲来のニュースは残念でならない。9月の最後の週にも台風第24号を避けて、なんとか安達太良山に登ったのに~と文句を言いつつ、山の天気予報を見ると、どうやら東北方面は土曜日に台風の影響がないらしく、好天気の予報。

しかしながら、日曜日は午前3時頃から風が強く吹き始め、午前9時頃には風速40mの暴風となり、午後3時頃まで風速30mで風は弱まらず、雨も降る模様。土曜日は絶好の山行向きだが、日曜日は確実に行動しない方がいい。しかも大朝日岳の周遊山行はほとんどが尾根歩き。これらを踏まえて、なんとか土曜日に古寺鉱泉から入って大朝日岳を日帰りピストンする山行に計画を変更することにした。

10月5日の夜8時に川崎を出発してから、台風が秋雨前線を刺激しているらしく、途中、安達太良山S.A.までずっと雨だったが、真夜中に古寺鉱泉下駐車場について空を見上げると、明日の好天気を予感させるような満天の星空! 駐車場で仮眠して朝6時半過ぎに大朝日岳に向かって出発した。

古寺鉱泉下駐車場から5分ぐらい行くと古寺鉱泉朝陽館という鄙びた温泉宿があり、その横を通ってしばらく樹林帯の中を歩いていくと、「一服清水」という最初の水場に出る。この辺りから展望が良くなり、紅葉した山々が見えてくる。左後方には、7月に登った月山が、その奥にはちょこっと「ひょっこりはん」のように鳥海山が頭をのぞかせていた。

「一服清水」から40分ぐらい登っていくと「三沢清水」の水場に出る。大朝日岳は、水場が豊富で古寺鉱泉コースだけで3か所はある。しかも豊富な水量。縦走には有難い山だ。「三沢清水」から40分ぐらいで古寺山の頂上に出る。ここからの朝日連峰のパノラマはすばらしく、特に小朝日岳の周辺の紅葉は圧巻だった。この景色が見たくて今回登りにきたようなものだ。ちょうど「古寺山」から続く小朝日岳の山並みが、緑の絨毯に、まるで赤や黄色、オレンジ色の、色とりどりのパッチワークをしているように見えた。小朝日岳の紅葉があまりに綺麗で、本来目標にしている大朝日岳の存在を忘れてしまいそうだった。

古寺山から気持ちの良い稜線をちょっと下っていくと、いきなり小朝日岳の急登に出くわす。ガシガシ200mぐらい直登していくと、ちょっとした平なところに出る。小朝日岳の山頂(1647m)だ。標識はないが360度パノラマが見える。ここで小腹がすいたので小休止した。せっかく1647mまで標高を稼いだものの、再び崖のような急坂を同じぐらい一気に降りる。「小」という文字とは裏腹に、正直、ここ小朝日岳の昇り降りが一番きつかった。

小朝日岳からちょうど1時間半ぐらいで、朝日連峰で一番美味しいと言われている「銀玉水」の水場に出る。ここはかなり豊富な水の量で、みんなカラカラに乾いた喉を潤す。そういえばこの日は、台風のフェーン現象のせいか、早秋というのにとても暑く、山頂近くでも24~25度ぐらいあり、私は汗をかき過ぎて、体中の塩が出てしまい、危うく足が攣りそうになってしまった。「芍薬甘草湯」と「アミノバイタル」とこの「銀玉水」の冷たいお水のお蔭で大事にならず、登り続けることができた。縦走路のオアシスの「銀玉水」からは、最後の一登りで、整備された石の階段の山道を30分ぐらい登っていくと、大朝日岳の頂上直下にちょこんと立っている大朝日小屋に到着する。そのまま素通りして10分程度で最終ゴールの大朝日岳の頂上に着く。

頂上からは、台風は本当に来るんだろうかと思うくらい雲一つない、360度の大パノラマで、遠く日本海に浮かぶ佐渡ヶ島から、磐梯山、蔵王連峰、月山、鳥海山など、東北の山々が赤く秋色に染まる姿が望めた。ここでしばらく眺めを堪能してから、いざ、下山へ。古寺鉱泉下駐車場まで4時間強の下りとなる。本当だったら、ゆっくりと夕日を堪能しながら大朝日小屋で滞在するんだったのに~と後ろ髪を引かれる想いで、下山し始めた。

下山時には、陽も斜めになり、紅葉の山々も行きとは違う優しい色になり、より秋が深まっていく感じがした。下山は登りよりも短いとはいえ、往復合計18キロ弱あり、さすがに長く感じた。ようやく駐車場に戻ったときは、陽もとっぷり暮れてしまったが、空には星が瞬いていた。はて、台風は一体どこに・・??。古寺鉱泉下駐車場から1時間ぐらい砂利道をいくと、本日急遽素泊まりすることにした朝日鉱泉に着いた。

朝日鉱泉では、台風のせいで我々1組ともう2組以外、皆キャンセルしたらしく、素泊まりでもたいそう有難がられた。結局、台風の兆候も感じないうちに山行を終え、豪勢な(?)夕食を作って食べた後、ほどよい山の疲れで眠り込んでいた午前3時半頃になって、いきなり「ドカーン」という爆音で目が覚めた。どうやらとうとう台風が来たらしい。止めている車が飛んで行ってしまうのではないかと思うくらい爆風と雨が吹き荒れ始め、朝の6時頃まで続いていた。やはり天気予報通り上空はかなり強い風が吹いている模様で、昼になっても雲の動きが早かった。宿から見えるはずの大朝日岳もすっぽり黒い雲の中で全く姿が見えない。聞くところによると、日曜日の大朝日小屋付近は相当爆風が吹いて降りられない人が多かった模様。直前まで天候を調べまくり急遽計画を変更するなど、メンバーにはヤキモキさせたが、結果的には、良い判断だったとつくづく思った次第。

台風一過の最後の日には、ご褒美に、芭蕉の句で名高い立石寺の山寺登山をして、帰宅した。大朝日岳は、今回行った古寺鉱泉コース以外にいろいろ面白そうなコースがあり、またいつか挑戦したいと思わせる、いい山でした。一緒に同行していただいた山下さんのいろいろな気遣いのお蔭で楽しい山行になりました。ありがとうございました。

感想 山下:
山形の朝日連峰 大朝日岳へ。
台風が近づいていたため、直前まで天気予報と睨めっこしつつでしたが、伊東さんはじめ、メンバーの適切な判断により、本来は初日、朝日鉱泉→山頂避難小屋で一泊→二日目下山予定でしたが、二日目が暴風予報に変わったため、急遽、古寺鉱泉から日帰りピストンする事に。

大朝日岳は初めてでしたが、山頂避難小屋一泊から、日帰りピストンに変更になった事により、荷が軽くなり、またメンバー全員の足も揃っていたため、長時間行動にはなりましたが、大朝日岳手前の小朝日岳の紅葉が見事で、目にも身体にも優しい山行でした。

山頂からは、近隣の月山はじめ、磐梯山や日本海沖には佐渡ヶ島も見渡す事ができ、また山頂から伸びる様々な縦走路も。いつか歩きたい登山道がまたできてしまいました。
東北出身ですが、登った東北の山は数えるほど。ついつい、アクセスも見た目も良い?北や南アルプスに気持ちが行ってしまいますが、日本アルプスとはまた違った雄大さを持つ、東北の山々をまた登りたいと思います。
今回、いろいろ計画や準備していただいた伊東L始め、ご一緒いただいた皆様に感謝です。


▲古寺鉱泉登山口にて。これから頑張ります!

▲月山が間近に望めた。その向こうに鳥海山までひょっこりはん。

▲古寺山からは、朝日連峰の紅葉のパノラマが

▲小朝日岳から主稜線を望む(ランドネ風)

▲小朝日岳の紅葉は圧巻

▲大朝日岳の山頂、360度のパノラマ!

▲朝日岳から小朝日岳を望む。小朝日がパッチワークの絨毯のよう。

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